「 呆けるこころ 」2016年08月20日 18:14

 「 呆けるこころ 」



  大きな月が夜の色を纏ってかしぐ
  こよみが居待月と月の名を教えてくれる
  こころが騒いでしかたがないのは
  大きな月のしわざのせいか
  潮は大潮 月が海を釣り上げる
  宙に跳ねて騒ぐ夜の海
  月にふりまわされてとどろきやまぬ海鳴りが
  わたしのこころに押し寄せる


  こころをみだらに舐ることがらばかりが
  みさかいもなく来る日も来る日もとびこんでくる  
  ひとがひとを拒絶する 
  ひとがひとを弄び
  ひとがひとを平然とこわす
  ひとがひとに病み
  ひとがひとを見失い
  ひとをひとから奪いとる
  ひとがひとをひとの手段に貶めて
  ひとがひとのあわいに行き暮れる
  それらひとつひとつが
  座礁した船のかたちの差し縄となって
  わたしを捕獲し わたしを
  そしてあなたを錆びつかせ殺ぎとってゆく


  立ち疲れ座して待つ月 居待月
  その齢(よわい)に応じて名前を着替えるもの
  明夜は寝待月 明後日は更待月(ふけまちつき)
  こうして
  大きな月はみずからの摂理に従い萎んでゆくだろう
  おのれの再生 その成就
  悠久の倦まぬ反復 遙かな自立
  波にのまれたよりなく錆びつくみすぼらしい難船
  立ち疲れ呆けるこころここにあれば
  居待ち月 おまえの営みに
  わたしを伴ってはくれないか



                  - (初)2016.07.23
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つれづれにしたためた作文を投稿させていただきます。本人は「詩」を書いているつもりですが,、恥ずかしながら「詩」とは何かがわかっているわけではありません。

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