「 風との対話 」2016年08月13日 08:36


「 風との対話 」


   風は意味を考えるだろうか
   風は意味を知るだろうか
   風は意味を疑うだろうか
   わたしたちは意味を考えるだろうか
   わたしたちは意味を知るだろうか
   わたしたちがかくも醜悪でなければならぬ
   その意味を


   わたしの問いを拒むように
   風が止む
   景色が真夏の熱にゆがみ
   視点を定められない
   室内の扇風機の風だけが
   風をまねて
   騒いでいる


   風はたぶん年齢を数えている
   おのれが生まれてこのかたの
   自発的対称性が破れてしまった
   以後の狂おしい数の年齢を
   ゆらぎを止めた意志のかたちで
   なにをどうささやいても
   つながってゆけぬ意味をうめいている


   わたしの願いをさげすんで
   風が黙する
   白い光に曝される窓
   すべてを放棄して垂れ下がるカーテン
   わたしたちはなにを知るだろうか
   わたしたちはなにに気づくだろうか
   ひび割れた影が足もとから逃げてゆく


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つれづれにしたためた作文を投稿させていただきます。本人は「詩」を書いているつもりですが,、恥ずかしながら「詩」とは何かがわかっているわけではありません。

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