「 一年が終わるというのだ 」2016年12月31日 11:53

「 一年が終わるというのだ 」


一年が終わるというのだ
しっかり地べたを踏んでいないから
終わるという一年の重みが身につかない
思えば
のんびり瞬いている間に通り過ぎた
粒のような風のような
つかのまのひかりのような
すこし歪んだ重力波のようなものだった


終わった一年は何処へいくか
トレーニングジムのかび臭い用具コーナーへ
メモなんかがまぎれ落ちている机の空洞(うろ)に
現在のほかは写そうとしない三面鏡の背後へ
日々お世話になる台所の米びつの隅っこに
無造作に請求書が投げ込まれる郵便受けへ
それぞれに
それぞれの約束の場所へ


われわれからつかず離れずの距離を
終わった一年はそれでも生きてゆくらしい
われわれのもとには二度と戻りはせぬと
三行半の啖呵を切って
われわれを見かぎり突き放し片手ひらひらと
あの苦しみも嘆きも痛みも後悔も喜びも笑い声もあばよと
早や知らぬ存ぜぬ記憶にございませんの背中をみせて
そのくせどこかでいつまでも睨んでいるというのだ


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   わたしのつたない投稿を御覧いただきありがとうございました。
   どちらさまも良いお年を !
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つれづれにしたためた作文を投稿させていただきます。本人は「詩」を書いているつもりですが,、恥ずかしながら「詩」とは何かがわかっているわけではありません。

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