「 今年の蝉へ 」 ― 2017年07月14日 11:23
蝉の季節がやってきたようだ
今朝はじめて気づいた
いつの間にこいつら
地からよみがえっていたのだ
生きるのにここまでまっとうな連中は
滅多にいるものじゃない
ベランダのステンレス柵をのりこえてくる
あいつらの懸命な声はいつもまっすぐで正しい
必死に鳴いてくれよ その小さな身体で
木立を揮(ふる)わせ木陰を燃やしつくし
おれの無聊で寝ぼけた頭にもぐりこみ
おれの秘話をみつけたら激しく笑いとばし
おれが都合良く忘れ棄てた無数の借用証書をみつけたら
おまえたちの緑色の声で景気よく読みあげてくれ
それから そのどこまでも美しく透きとおる薄羽に
おれのけちな告解を少しだけ綴らせてくれないか
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