詩という隘路

　「 すずめ （ 雀 ）」



　こんなに近くに姿を見せながら
　決して近かよってこないやつ
　うっかりつかんでしまえば
　いとも簡単に握りつぶされそうなやつ


　いつだったか伏見で
　あまえの丸焼きを頭から囓った
　お宮のそばだというに
　日本の神さまもおれもずいぶんと阿漕だ


　その甘辛い味がいつまでも残って沁みる
　害鳥益鳥と区分けされ
　自然の摂理を人間の欲望にすり替えて
　おれは抵抗もなくおまえを囓ったのだが


　ときどきおれの窓辺にやってくる
　小さな体をこころもち膨らませ
　おれには決して見えないものをみつめている
　おれが容易くすり替えて気づかずにいるものを



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