「 ぶんちょう ( 文鳥 )」 ― 2017年05月06日 09:36
少年は苛ついていた
一向に手に乗ろうとしてくれない文鳥に
それで竹で編んだ鳥かごを激しく揺すった
少年は求めていたが
求めて得るべきものは何で
求めて得られぬものは何であるかを知らなかった
薄い紅さす嘴は痛ましく開きあえいでいた
白一色の体はこきざみに震えていた
悲鳴をあげることも怒るすべからも見放され
悪は淋しい湿度をおびて生まれる
悪は把手のとれた悲しい扉の内側に生まれる
そのまえで文鳥は冷たく厳しく硬直していった
------------------
最近のコメント