「 茨木のり子 」2017年01月10日 17:01

「 茨木のり子 」


ようやく茨木のり子の頁にたどりついた
少しずつ読み進めてきた全集の最後の巻に編纂されていた彼女の詩に
少し引っかかるもののあると重箱の隅をつつくが結局
いい詩を書くなぁと感心させられて頁を繰る
思えば数年前 おもわずほろりとさせられたのも
彼女の作品集だった

いま眺めている詩は
ずいぶん昔の作品だ
「 女の言葉が鋭すぎても
  直裁すぎても
  支離滅裂であろうとも
  それをまともに受けとめられない男は
  まったく駄目だ すべてにおいて」 ※1

なんだこれは こんなもののどこが詩なのかと
「詩」というものに逃げ込んで
なお彼女の詩行を裁きたがっているおれがいる
なんだこれは なんでも「男」をやり玉にと
すべてにおいて駄目な男のこころがうごめいてやまぬ

向こうもさるもの その秘密まで彼女はしつこく追求し
曝いて容赦ない
 「 女たちは長く長く許してきた
   あまりに長く許してきたので
   どこの国の女たちも鉛の兵隊しか
   生めなくなったのではないか?」 ※2

そういえば先日つまらないことで
かみさんとつまらぬ言い争いをした
まったくおれに非があるのだ
言い争っているそのうちに口のまわりが
鉛っぽく重くなったことに気づいたばかりだった


 *1 「王様の耳」より 
        詩集『人名詩集』1971所収
 *2 「怒るときと許すとき」より 
        詩集『見えない配達夫』1958所収

                   
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つれづれにしたためた作文を投稿させていただきます。本人は「詩」を書いているつもりですが,、恥ずかしながら「詩」とは何かがわかっているわけではありません。

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