「 わらうからす 」2017年01月09日 09:18

「 わらうからす 」


待ちかねていたようにからすが群れてきた
年明けはじめての生ごみ収集日
目聡い彼らの翼が寒気を切る
冷たい早朝をついばみながら
ひととき騒ぎたてる彼らのだみ声が
民家の屋根をめぐり窓を照らす
なにひとつ疑わず生きることのいさぎよさで
ひとときも無垢を保てぬ生きものを撃ち
厳しい季節をしのぐことにのみ肉体を反応させている


群らがるからす おまえたちの朝は
いじましい いじましいほどに切実だ
おれはいやらしい声を張りあげるおまえたちを
憎々しくにらんでいる
朝っぱら堂々とごみ袋を襲う群盗を
苛立ち嫌悪してながめている
おまえたちの煽る黒い羽が責め立てている気がして
彼らからおれたちとおまえたちとどこがどう違うのかと
堂々と開き直られているようで


にんげんの芥を散らかすだけ散らかして
凱歌をうたうように去ってゆく
いつでも漁ってやるぜと捨て台詞のあいつらの鬨が窓に貼り付いた
ダテに野に生きているんじゃないぜとやつらの啖呵が空を舞い
寒気を突き崩す勢いさながら早朝のパーティで狼藉し
街を 家並みを 通りを 路地を にんげんの集積所を
そこに潜む生きものを
みくだすように
笑いこけるように飛んでいった

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つれづれにしたためた作文を投稿させていただきます。本人は「詩」を書いているつもりですが,、恥ずかしながら「詩」とは何かがわかっているわけではありません。

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