「 車窓の郷里 」2016年10月15日 10:47

「 車窓の郷里 」



しばらく車窓に流れる夜の景色を見つめていたのだ
ところどころ点る灯りが人の居場所はここだと訴えている
だが車窓に委ねた焦点はたちどころにひとりの人影に移行する
なにを思うのか 途惑ったままの表情が夜景を背に浮かんでいる


郷里を離れて数え切れぬ時が流れてしまった
戻る家も会う人も多くが失われていた
積み重なる時間に耐えているような家並みや人々は皆老いていた
その郷里を去って日々を積みあげる生活の場に戻るところだ


故郷があるやつはいいなと良く耳にする
郷里という言葉が甘やかな郷愁を誘(イザナ)うのだろう
ないものねだりのあこがれや羨望が心の隙間をかきまわす
誰もが戻る場所をどこかをあこがれを心に住まわせている


訛りも多くを忘れ果ててしまったぼくに
郷里はすでに異郷の相貌を曝していた
どこよりもよそよそしく
そこはさびれ佇んでいた


車窓を走り去る暗い景色に いま
かつての郷里がにじみながらよみがえった気がしたのだ
人は閉ざされてはいけない
人は放たれていなければならないと無理無理つぶやいた



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つれづれにしたためた作文を投稿させていただきます。本人は「詩」を書いているつもりですが,、恥ずかしながら「詩」とは何かがわかっているわけではありません。

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