「 夏の午后 」 ― 2016年07月27日 12:04
気まぐれを
地でいくように涼しくなった夏の午后
部屋の片付けのついでにフォトアルバムを
あける
長く閉じていたアルバムを
あける
長く閉じていた時間を
あける
叛いた唇が今は古びて留められている
こわばる拳が置く場所を探しあぐねたままでいる
色の失せた景色が見失った時間のかたちをまねて
たよりない
せめて
懐かしい物語の片鱗をさがそう
すべてが乾いた単色に変じている
疾駆していたあの思いも永遠の停止命令を受けて
気の抜けた炭酸になってしまっている
犬のような労働のスケッチも静かにたたみ込まれて
(犬の・・とはドストエフスキーのことば
断じてぼくが発したものじゃないが)
あのとき何を語り
あのとき何に黙したか
あのとき何を見
あのとき何から目を背けたか
あのとき何を信じ
あのとき何を裏切ったか
多くのものが行き交い
多くのものが姿を隠し
多くのものが石化した
それを受け入れるために
きままなタイムトリップを過ごす
もとよりタイムパラドックスは避けられない
「もしも」や「だったら」の畝に実っているものはなんだ
意図して抹消された無数の痕跡の数々
それらが記憶もあいまいに影をおとす午后
もうどこにも戻れやしないと
蝉がこうるさく説教する静かな午后
2016.07.25
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