詩という隘路2015-040 --- 〈 蟋蟀 〉2015年09月22日 13:48

蟋蟀が鳴いている
闇間に転がる玉の音(ネ)が夜の深さを教える
人間が勝手な感傷をおしかぶせ
人間が勝手な嗜好をわけ知り顔におしつけて
無償のあはれと人間は聴く
無償に生きられぬおのれの罪障に背を向けて


蟋蟀が鳴いている
いのちそのものがいのちのままに鳴く
鉄筋とセメントで押し固められた世界にさまよいでて
いのちがいのちのありかを告げている
明るみにいきているものは明るみゆえに
いのちのままにいきることがままならぬか


蟋蟀が鳴いている
静かに響く擦聲がこの夜を慰撫しているようだ
おまえたちには与り知らぬことだが
またひとつ人間は歴史を刻み理想のいのちを喪った
夥しい死と無数の惨劇の産褥から冗談のように生まれた
もらいものの理想であれば おまえたちのように鳴けなかった


蟋蟀が鳴いている
きらびやかなスポットライトも 派手やかな鉦太鼓も必要としない
にぎにぎしいとりまきも 騒動しいばかりの小手先細工も不要だ
いのちそのものがいのちのままにいのちに向かい合う
その営みがおまえの夜をささえているが
これからの人間の夜がささえようとしているものをおまえは知らぬか

 
                安保法案参院強行採決の夜に

    
http://www.ne.jp/asahi/poem/ahodori/
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つれづれにしたためた作文を投稿させていただきます。本人は「詩」を書いているつもりですが,、恥ずかしながら「詩」とは何かがわかっているわけではありません。

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