「 灯台へ 」2018年01月01日 08:25


突堤に向かえ
漆黒の夜に沈むあかりをしるべに
ひとりピルエットを躍りつづける
その旋回の軸心に

身を切る波のその足もとに散りしぶくことだろう
岩礁にたたずむ体躯の濡れそぼって乾くいとまもないだろう
厳しい寒風はあやめもわからぬ視界を凍らせることだろう
まっすぐにさしのべる白い腕の闇に溶けるばかりだろう

すべての波は重い
すべての流れは疾い
すべての海峡は酷(むご)く切り裂かれ
すべて航行するものはどこまでも危うく頼りない

その佇立は必ずひとり寡黙だろう
なぜここに位置するかと自問することはないだろう
昏く閉ざされて行き交い行きくれるもののまことのために
それはただただ朴訥に遠い距離を示すであろう

暗澹とうなる夜の海にさしのべる明かし
自らの位置からはうかがいかねる実在への暖かな表示
いくつもの秘話をのみ込みいくつもの過誤をさえ篝火とし
そこに違(たが)わぬ行方あるをのみ顕す

そこに突堤がある 
そこに終わりない旋転が
そこには見出すべき方位が
そこには見つめるべきあかりがある



              -2018.01.01

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つれづれにしたためた作文を投稿させていただきます。本人は「詩」を書いているつもりですが,、恥ずかしながら「詩」とは何かがわかっているわけではありません。

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