「 ダークマターにかこまれて 」2017年03月18日 10:17

「 ダークマターにかこまれて 」



われわれが一隅に住まうこの宇宙には確かめられないものの
なにやらあまねく存在しているらしいというのだ
それは直接に見えず感触できず我々の関与もできず関与もされず
今に至るも知られぬなにものかであり
それが不可思議に濃密にここかしこにあるというのだ


しかもその規模たるや
見て触れ計りうる森羅万象ことごとくを
はるかに凌駕しているというのだからすごい
そう考えなければならない理由をこの宇宙はかかえているという
この世には誰もよりつかぬからっぽの部屋などないとでもいうように


触れることはもとより見ることも知ることすら可能ではないというのに
どうしてどうすればそういうことがわかるのであろう
なんでもそう考えなければ宇宙のつじつまがあわないということらしい
どんなつじつまなのかぼくは知らないしぼくの理解力で及ばぬ代物だろうが
わからないままにわからぬそいつがなぜかとても納得できそうなのだ


もちろんこれは形而上学的りくつではない
かといって形而下的煩雑事でもない
どのようにも気づきようもないのだが われわれからわれわれの空隙を奪い
われわれを縦横無尽に覆い貫く見えず触れず知られぬそんなものが
その理屈はしらないが豊かにたゆとうているもののありうるとはどこかありがたい 


われわれが互いに見下し反目叛き欺き陥れ互いを罵り傷つけあうその
われわれのドタバタを尻目にわれわれの一切合切を圧倒的に濃く厚くくるみおる
そんなものがなければつじつまがつかない宇宙のわれわれはそのかたわれである 
われわれにとってのすごい秘密ではないか 互いに触れえず計りえず知りえず見えぬが
それなくしてはつじつまつかぬわれわれがなぜかそこに在るということに他ならん哉


そんなことをわけのわからぬままのんびりと考えるでもなく構え呆けていると
行き暮れる日々のありさまを悩み煩うこともなんだかつまらぬ損をした気になる
わかっていることなんて所詮ちっぽけなことだ そんなちっぽけなことでも
やむを得ずさらに懸命に縮こませてしまうわれわれのダークマターのなんと貧しいこと
せめて春風駘蕩少し寒い暖かな春を味わいながら今は大いなる未知の世界を憧れていよう


--------------------------

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
わたしのブログタイトルは?

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://si-airo.asablo.jp/blog/2017/03/18/8409050/tb

<< 2017/03 >>
01 02 03 04
05 06 07 08 09 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

このブログについて

つれづれにしたためた作文を投稿させていただきます。本人は「詩」を書いているつもりですが,、恥ずかしながら「詩」とは何かがわかっているわけではありません。

最近のコメント

最近のトラックバック

メッセージ

RSS